いや、この言説を肯定したいわけではなくて。
Spotifyをずっと使っていると「あなた用のプレイリスト」みたいなのをSpotifyが自動で作ってくれる機能があって、自分で作ったプレイリストに少し飽きたときなんかにたまにかけっぱなしにする。
それはよく聞く音楽のジャンルで、同じ曲を聴いている誰かが聴いている曲という選定基準でより多く一致した曲が抽出されているみたいで、要は自分が好きな曲と似てる曲、それっぽい曲を拾ってきて寄せ集めてある。
なかには、お?これは聴いたことなかったけどなかなか?というものもあれば、これとこれを一緒にして扱うんじゃねえよコロすぞ、と言いたくなるようなこともある。
そういうときは「このアーティストの曲を再生しない」という、アーティスト自体へのブロック機能があるからそれを活用する。
さて書こうとした主題はこれではなくて。
今なかよくお付き合いさせていただいてる友人と呼んでいいかもしれないと思える人の一人が、まるでこのSpotifyのような挙動をしてて、正直どうかなあと感じ始めて困ってる。
僕が今一番聴いてるAというバンドが居て、そのバンドはジャンル分けするとすればミクスチャーと呼ばれる、ポップ・ロックに派手なギターやデスボイス、オートチューン、メタルっぽい超速ドラムなどを乗せて、メロディは転調を繰り返しまくるというある意味こだわりのない、悪く言えば節操のない音楽をやってる。
でも完成度の高さ故にそれ自体が特徴として認知され、いまや似たようなバンドやグループが出てきたときにAっぽいと呼ばれるようなポジションにいるバンドになっている。
そのバンドは音楽のジャンルというものに対するこだわりや、自分たちがどう思われるかということへの変なプライドがないので、アニメの主題歌なども気軽にやったりして、そっちの世界では「◯◯の主題歌をやってたバンド」という形で有名だったりする。
さて最近メディアミックスというか、アニメの中でバンドを出してそれを演じる声優に実際にそのバンドをやらせるという手法が流行っているんだけど、それの一つのBというバンドがAのパクリ音楽をやっていた。
そのアニメはたちの悪いオタクが多数いて炎上を繰り返す有名なアニメの派生で、上記のことがネットで少し話題になって炎上しかけ、Bのプロデューサーがそれに言及し「実は昔からの大ファンで大きく影響を受けている」と酷似していることを認めた。
その流れにファンや本人たちはむしろ盛り上がって、最終的にはAがBに公式に楽曲提供することとなった。
その結果、Bを応援したい人(もともと有名炎上アニメオタクの人)たちがAのライブに流れ込んでくるという事態となった。
ライブでの対バンやA主催のフェスにBや、その仲間のアニメバンドたちが呼ばれたり、一般のフェスで似通ったジャンルを集めるときにオタク界隈と寄せ集められ、そうなるとファンも混じり合い、なんだか異様な感じになってきた。
その手のバンドの界隈に出来上がっていた文化にオタク文化が交じる。
モッシュやダイブが発生する中ペにンライトを振り回す人間が混じりこむ。
モッシュやダイブで荒れた場に便乗して扇状の改造ペンライトを振り回し、使い捨てのサイリウムを何度も天井に向けて投げ上げ、落ちてきたものは誰かにあたり、そのまま放置される。
僕は知らなかったんだけどオタクのライブではジャンプしたり独自の振り付けで踊ったりなど、予め決められた以外の動作をすることは厳禁で、(いや、バンドのライブでも原則危険行為は禁止なんだけど)ペンライトなんかもレギュレーションがガチガチに決まっていて、オンリーのイベントなんかで改造ペンライトもってると運営からつまみ出されるとのこと。
そのルールを守ってる人がモッシュやダイブ上等の荒れくるう現場に混じり合う、またはモッシュやダイブ上等の人たちが違法ペンライト持って向こうのライブの現場に混じりこむ、なんてことで、お互いのやることが噛み合わず、熱のあるファンがあつまる前方では喧嘩が起こったりするようになった。
言えばモッシュやダイブはもともとみんなが盛り上がった末に自然発生的に起るはずのものだけど、現代のモッシュは本来のそれとは異なり、やりたい人が集まって誰かの指示でマスゲーム的にやってるだけなので、仕切ってる一部のイキりな人たちにしてみれば流れ込んできたオタクは邪魔だし、仕切ろうとするやつはオタク的には邪魔で、そいつらが殴り合いの喧嘩を始めたりする。
先日行ったフェスではそれをステージ上からアーティストが諫める場面さえあった。
で、やっと話が戻るんだけど、僕が前文で上げた彼はもともとこのオタク側の人間の一人で、これまで趣味の部分で共通点はなかったはずだったのが、そこで繋がってしまった。
彼は自分含めたオタクたちの行動が少したち悪いという自覚はあって、でもその挙動はオタクという界隈に留めるべきという自戒もあって、これまで僕との付き合いの中で彼のそういう部分を見ることはなかった。
むしろオタク属性を持っているのに一般側にうまく溶け込めているオレ、という密かな選民感さえもっていて、「僕はオタクだけど、普通の趣味もイケるんですよー」なんて言動がときどき漏れはしてもそうなんだーくらいで受け止めていた。実際実害はなかったし。
でも繋がってしまったことで否応なく隠されていた部分が流れ込んできて少し困惑はした。
でもそれはそれで互いの価値観なのでこれまで通りの距離感で仲良くできたらいいなと考えていたのだけど、多少のズレをお互いに承服できない瞬間が生まれるようになってきた。
そして彼は今、Aの界隈の「似たような音楽」を貪欲に吸収し始め、似たような、でも似て非なる質の低い劣化コピーのような音楽を聴いて「Cもいいですよね!」なんて言ってくる。
いや、よくねえよ。
お前がやってんのは竹富島っていう銀座の居酒屋(ほんとにある)に行って三線が流れるの聴いて、沖縄ってほんとにいいですよね、って言ってるようなもんだよ!
って言いたいけど、本人が好きって言ってるんだからまあそれでいいかと自分をおさえて「あー僕にはあまり響かなかったですけど、そうなんですねーいいのかー」なんて濁してたら「そうですよ、ライブパフォーマンスで盛り上げるってことに関してはあいつらがトップですね!」なんて言ってくる。
いやお前、この前までAのことインスタとかに流してもなんの反応もしないし、「◯◯の主題歌をやってたバンド」以上の興味もなかっただろ…
だいたいCのライブパフォーマンスって、あの二流バンド「オマエラー、オマエラー、カカッテコーイ」「オマエラー、イケンノカー」って繰り返してるだけじゃん…。ボーカルが帰国子女でネイティブ英語話せるからべらべらと英語で喋ってるだけの曲が多いじゃん…。
ファンたちも曲なんてどうでもよくて、ただモッシュ、ダイブしたいだけじゃん…。それを自分たちが盛り上げてるから発生してるって勘違いしてるアーティスト側は多少の無茶を許容して、要はただの共依存みたいな感じやん…?
なんてことが常に頭をよぎって、なんかこう、もやもやする。
いやまあそれが若いってことかもしれないし、いい歳して心が狭い、というお話に過ぎないのだけど。