少し先の予定を入れるのが嫌い。
楽しみにしているか、またはその逆の予定を入れたら、僕はずっとそれが頭のどこかに置きっぱなしになる。
楽しみな予定であれば飴をなめるかのような感覚でずっとその楽しさを薄く味わい続ければ本来はより長く楽しめるはずなんだけど、僕のような人種はそれが難しい。
大口顧客やクレーマーが優先されるのと同じように、より大事な人や、約束を違えるとめんどくさい人との調整が最優先タスクとなりがちで、僕のような「誰に対しても優しくいつでも大人」担当の人間との約束は優先度低めと判断されるので、大抵の約束は僕にとっては確定していないのとおんなじ。
だから、楽しみにしていると必ず梯子は外されるか、よくてもかけ替えが起こるから、その瞬間が来るであろうことを頭の隅に常においておく癖がついてしまって、楽しみな予定ほどそれが重たい。
嫌な予定についてはいわずもがな。それが先であればあるほど嫌な気持ちに耐え続けるエネルギーの消費半端ない。
さらに僕はつい相手の都合を推し量って、自分のほうで調整しますと提案してしまうけど、その提案に渡りに船とばかりにのっかって即僕を後回しにする人間に対しては心の中でバツをつけるし、評価を下げて、ときにはばっさりと関係を断つ。
それを食らった相手は当然わけがわからないから誰かにそれを愚痴り、僕は局所的に難しい人認定をされる。
「自分のことを大事にしてくれる人」は受け側にとっては「都合のいい人」と紙一重くらいしか変わらないか、ときには同じで、相手のことを大事にしたくて頑張っているうちにただの都合のいい人に成り下がって、悪いことに相手にはこちらを都合よく扱ってる意識が無いなんてことが僕はよく起こる。
大事にされたくて大事にしてるわけではないけれど、でも誰かを大事にしたら自分も大事にされたい気持ちは生まれてしまう。
僕は、いい人だとか優しいとか真面目とか清潔感あるよねーだとか、当たり障りのないことが取り柄のようなものだから、唯一の取り柄を活かすべくいい人を演じ続けてもう半世紀。
でも、いい人を続けるのはとてもむずかしい。