何を始めるにも遅くはない。今が人生の一番若い時。
なんてのはよく言われて、それ自体は事実ではありつつも実際には物事にそれを成す適したタイミングというか、潮目のようなものが存在して、主に難易度という面で現実的にはタイムリミットがある程度存在するように見える。
一昨年の夏に人生で初めて一人旅をしてみて、それまで僕の中で持ってた価値観の一部は上書きされ、その少し変化した価値観を伴って昨年繰り返し訪れた沖縄の八重山諸島への旅で、その価値観の変容は確固たるものとなっていき、今の生活を脱して完全に変化させてしまいたいという思いに至った。
人生はたぶん本当はもっと自由な選択肢があって、もちろん要所要所でちゃんとやることやってないと詰むとは思うけど、真面目に自由に生きるという選択肢があることを僕は知らなくて、とにかく真面目に息苦しく生きる中で、それでも自分らしい選択を繰り返した結果、自由な生き方としても、堅苦しい生き方としても、一定の水準に達するには至らなかった。
この歳になってそれを後悔しても流石にリカバリは難しく、いやそれが難しいとか、一定の水準に達していなければ親や兄弟や、自分の周りの人間に対して引け目を感じるような価値観ってものが既に縛られまくってるそれなわけだけど、でもこの歳になって自由な生き方をしたかったとか、今からでも遅くないとか言っちゃうのは流石に痛いでしょう、とは思ってるし、その価値観を僕が失うのは確かに馬鹿じゃねーの、とは自分で思う。
だからせめて、この自分の価値観と現状をぶっ壊すことなく、でも自分の欲を満たせるような選択肢を探すことをやめずに生きてたくて、今も毎日考えてる。
僕の妹は英語の講師で、僕がこの手の話をしたときに決まって
「にいちゃん、人生はIt’s not too lateだよ」
なんてかっこいいことを言う。
いや、締め切りはあるだろ。
と、内心ツッコミつつ、でも、そうであることを自分の姿で体現したいな、とも思う。
たぶん僕にはいつまでも、人生の上がりはこない。
いつまでこれ続けるのかな。そろそろおじいちゃんなのになあ。